死者からの贈り物
先日、じいさんが死んだ。暑い日の午後のことだ。急なことで、 お茶を入れることも出来ないので、コンビにへお茶やら菓子などを買いに妻と出かけた。
たんまり買い込んでレジに行くと、「クジを引け」という。キャンペーン中なのだそうだ。 急いでるのにめんどくさいなぁ、と思いつつひいてみると...当たり。 なんとチョコレートが当たった。
次の日、そのチョコレートをボソボソと食べていると、 中から「あたり」と書かれた紙が出てきた。広げてみると、 それは葉書だった。これを送ると、引き換えにジャンボ宝くじ10枚が送られてくるのだという。 連番なので、必ず末等の300円は当たるらしい。つまり、 3回連続してあたりが出ることになる。
親戚に見せると、「これはじいさんからの世話になったことへのお礼に違いない」 と大いに盛り上がった。妻は「1等が当たるに違いない」と喜び、 さっそく葉書を発送しに出かけていった。
しかし、本当に1等など当たるのだろうか? よく考えてみればじいさんは生涯お金に縁のなかった人だ。 買い物に出かけても砂糖と養命酒とシガーフライ(菓子) くらいしか買わなかった人だ。そんな人間に3億円なんて思いつくものだろうか。
「ま、300円が関の山だろうな」あんまり期待せずに、私は抽選日を待つことにした。
つづく
最終更新日: 2003-08-19 20:32:00