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2つのアパレル3D技術でひらくオーダーメイド生産の手法

アパレル3D技術をもちいたバーチャルフィッティングをよく見かけるようになりました。 PCやスマホの中で服を試着したりすることが主ですが、私が思うにアパレル3Dには二つの種類があって、 一つは2Dから3Dへの変換すなわちバーチャルフィッティング、もう一つは3Dから2Dへの変換であると考えています。
3Dから2Dへの変換は具体的に言うと原型型紙の作成になります。3Dの人体データを計測し、人体にフィットした2Dの型紙楽天 を作ることをいいます。

この二つの3Dを組み合わせて用いると人体のスキャンデータからパターン作成、バーチャルフィッティングまで行うことができるようになります。
さらにパラメトリック技術を追加すれば、人体3Dデータを入力するだけでその人体にフィットしたパターン楽天 を自動的に作ることが可能です。
現在マスカットCADというアパレル3D-CADを作っていますが、このCADの目的の一つは、二つの3D技術を統合して実行できるようにすることです。


3D→2Dで必要となる技術

人体3Dデータから2Dの原型型紙を作るには二つの技術開発が必要でした。
もちろん従来からある原型型紙製図法も使えないことはないのですが、標準体型以外の人では補正が必要となってしまいます。精度が良く補正が不要な原型型紙が必要なのです。
一つ目は人体3Dデータのトルソー化技術です。人体は厳密には左右非対称です。左右の肩の高さは異なりますし、腕や足に付いている筋肉量も左右で異なります。また中には体が捻れている人もいます。下半身は正面を向いているのに上半身が横を向いているといった人が少なからずいます。これを補正して、個人の特徴を残したまま対称化してトルソーデータにします。
トルソー化技術は既に開発済みで、論文も公表されています。私はこの研究に協力者として参加し、プログラムを作成しました。
このプログラムは現在フリーソフトとして公開されています。 こちら

二つ目は精度のよい原型型紙を作成する技術です。この技術も既に開発済みなのですが、まだ論文が公開されていないため、現段階では未公開です。
下の図は従来の文化式原型型紙製図法で測定する人体の部位です。

バストウエスト背丈の三つのパラメーターしか計測しません。このパラメーター数では少なすぎるのは明らかですよね。
従来の原型型紙は手書き製図が前提なので、手順を間違えたりする事も多かったのでしょう。 試着して確認・補正することが前提であれば、この方式でも構わないと思うのですが、せっかく3Dデータを用いてPCで製図するのですから、補正はなくすべきです。
現在作成しているアパレル3D-CAD(仮称マスカットCAD)が完成すると、着る人の人体3DトルソーデータをCADに入力すると、 CADがトルソーを採寸し、あらかじめ作成しておいた手順通りに製図してくれます。 さらにバーチャルフィッティングを確認して、その人に似合うよう、パラメーターを微調整したのち、パターンを出力することが可能になります。。

二つのアパレル3D技術を統合してできるようになること

下の図は昭和61年のアパレル工業新聞に「夢の衣料生産技術」という見出しで掲載された記事の図です。
二つのアパレル3D技術を組み合わせると、このようなオーダーメードシステムを構築することができるようになります。

引用:アパレル工業新聞昭和61年8月1日 21世紀に向けてのアパレル設計

最終更新日: 2023-01-25 22:44:08

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