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人生の節目、その先で何を作るのか


前回の記事で、還暦を前にして、仕事や介護、お金の使い方など、いろいろなものが同時に区切りを迎えている、という話を書きました。
今回はその続きとして、「では、これから自分は何を作って生きていくのか」という、まだ答えの出ていない話を書いてみたいと思います。

なぜ洋裁CADを作り始めたのか


服飾向けCADを作り始めた理由は、実はそれほど立派なものではありません。
もともと「この世に存在していないものを作りたい」という気持ちが先にあって、あれこれ探しているうちに、たまたま見つけたのが洋裁CADだった、というだけです。正直に言えば、もし他に面白そうな題材があれば、それでもよかったのだと思います。

ただ、実際に洋裁を始めてみて、ひとつ大きな違和感に気づきました。
服飾の世界には、パラメトリックCADが存在していないのです。

既存のCADでは、
バスト○cm、ウエスト×cm、ヒップ△cm
といった寸法で型紙を一度描くと、別サイズを作るには、ほぼ最初から描き直す必要があります。

一方、機械設計などで使われるパラメトリックCADなら、寸法値を変更するだけで形状全体が自動的に更新されます。
「なぜ洋裁には、これがないのだろう?」
そう思ったことが、洋裁CAD「桃CAD」を作り始めるきっかけでした。

12年かけて、やることがなくなった


その後、大学の先生と共同研究をすることになり、話はさらに発展します。
型紙楽天 データに人体の3Dデータを組み合わせ、自動的に体にフィットさせる――
そんな洋裁3D-CAD「マスカットCAD」を作り始めました。

現在、このマスカットCADは、大枠としてはほぼ完成しています。
正確には「まだ完成していない」のですが、技術的に越えられなかった課題はすべてクリアしました。残っているのは、細かなバグを潰す作業だけです。

振り返ると、ここまで来るのに約12年。
そして今、初めて「もう、やることがあまり残っていない」と感じています。

残りの時間で、何に熱中するか


寿命を考えても、健康に動ける期間は、あと15年くらいはあるでしょう。
この時間を、できれば何かに夢中になって使いたい。

条件として考えているのは、これまでと同じです。

この世にまだ存在していないもの

のんびり作っていても、誰も参入してこないニッチな分野

洋裁CADのように、時間をかけて育てられるもの

そういう題材を、実はずっと探しています。
でも、そんな都合のいいものは、なかなか見つかりません。

今、考えている候補たち


現時点で頭に浮かんでいるのは、こんな感じです。

VR洋裁アプリ
 技術的には面白そうですが、実用的な意味があるかは微妙です。

型紙販売
 これまでの延長線上としては自然ですが、新しい挑戦かと言われると少し弱い。

木工
 近所に家具工場があり、高級木材の端材を分けてもらえます。
 小さな道具を作るなら、材料には困りません。

竹工
 木工ほど自由度はありませんが、自分で竹林を持っているので、材料は無尽蔵です。

ラズベリーパイで何か作る
 ただ、「新規性のある何か」が思いついていません。

こうして並べてみても、「これだ」と言えるものがありません。
それが、今いちばんの悩みです。

最終更新日: 2025-12-14 10:26:11

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Author: Tomoyuki Ito

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