AIを利用し、衣服のデザイン画から型紙を制作する方法
衣服のデザイン画から実用的な型紙データを生成する手法について検討した。
パラメトリックCADを用いることとし、
学習の簡略化および人体形状の多様性に対応するためにCADの製図に必要な要素を分割し、
分割した要素を機械学習とCADに割り振る手法を考えた。
この手法を用いて実際にごく初歩的な型紙楽天 を生成し、考案した生成手法が上手く機能することを確認する。
概要
製図知識がなくても、衣服のデザイン画から自動的に型紙データが得られれば便利である。
AIを利用して生成するのが方法の一つと考えられる。
そこで、Aiを用いた型紙データの生成方法について検討した。
問題点
・Aiに学習させるための教師データは、問題となるデザイン画と答となる型紙がセットで必要となるが、大量のデータセットを揃えるのは極めて困難である。
・実際に着用できる衣服の型紙を生成するには、着用者の人体データが必要である。
しかしながら、デザイン画に着用者の詳細な人体形状が描かれるケースは少ないと考えられる。また、デザイン画に描かれた人物が着用するとは限らない。
解決法
型紙作成工程を2種類のパラメータ(意匠と人体)とメソッド(製図手順)に分割し、AIとパラメトリックCADで分担する。
人体パラメーター(原型)はCAD側で受け持つことでAiが負担するパラメーターを減らし、かつ様々な体格の人にフィットする型紙データを少ない教師データで生成できるようにする。
パラメトリックCAD
パラメトリックCADの特徴は製図に必要なパラメーター(寸法)とメソッド(製図手順)が分割されていることである。
一度メソッドを記述しておけば、パラメーターを変えることで出力物の形状を変えることが可能となる。
例えば箱を設計する場合、縦横高さをパラメータとして分けておけば、様々な大きさの箱をパラメーターを変えるだけで出力することが可能になる。
衣服の場合、丈や幅以外に、3D人体データを1つのパラメータとして扱うことも可能である。
下の図は、ワンピースの製図手順に人体パラメーターを差し替えて型紙を出力、バーチャルフィッティングした結果である。
下の図は、スカートの意匠パラメーター(丈と開き角度)を変更して型紙を出力、バーチャルフィッティングした結果である。
要素の分割
型紙制作に必要な要素を下記の3つに分割して考える。
1人体パラメーター:人体の個別形状に関するパラメタを格納する(原型型紙)
2意匠パラメーター:ゆとり量、丈、裾形状などデザインに関連するパラメタを格納する
3メソッド:個別衣服アイテムの製図手順を記したもの
この3つの要素をAiとCADで分担することでAiの負担を減らす。分担量順にレベル分けをして効果を検討した。
Aiの分担量が増えるほど自由度は増えるが、必要な教師データ数が増えると考えられる。レベルの低いものから順に実用化するのが妥当であると考えられる。
level1パラメータをAIで算出
特定アイテムの様々なバリエーションを製図できる。(特定のアイテムしか出来ない)
level2パラメータ+メソッド選択
アイテムごとにメソッドを用意しておき、AIがアイテムを選択し、アイテムに対応するパラメータを算出する
(様々なアイテムの様々なバリエーションを製図できるが、独創的なアイテムには対応できない。たくさんのメソッドを用意する必要がある)
level3パラメータ+メソッド生成
デザイン図から製図に必要なメソッドとパラメーターをAIが生成する。独創的なアイテムでも製図可能
具体的には、CADのデータファイルをAiが生成し、CADにファイルに読み込ませたうえで原型データを加えて型紙を出力する。
(このレベルが最も実用的と考えられる)
level4パラメータ+メソッド+原型型紙
デザイン図から個別対応アイテムの型紙をAIが生成する。
(人体データもデザイン図から得るため、特定個人の衣服しか生成できなくなり却って実用性に乏しくなる)
検証
まずはlevel1を実施し、正常なパラメータが出力されるか確認する。
教師データとして様々な体格のデザイン図を入力し、人体パラメーターと意匠パラメーターが分離されることを確認する。
算出したパラメータをパラメトリックCADに入力し、メソッドと複数の原型型紙を組み合わせ、バーチャルフィッティングしてデザイン画と比較、妥当性を検証する。
必要となる教師データは、パラメトリックCADにメソッド+様々な意匠パラメーター+様々な人体パラメーターを入力し、バーチャルフィッティングした画像データを作成し、
この画像と意匠パラメーターをセットにして作成する。
--以下作成中--
最終更新日: 2024-01-24 16:06:33