過湿な水田の水抜き方法
水を入れなくても地下から水が湧き出して常に湿っている田んぼの水を抜く方法です。
こうした田んぼのことを私の地方では「ざぶ田」と呼んでいます。
足を踏み入れると長靴が埋まってしまって歩くことさえままならないほど水分があります。これでは鍬を使うことはもちろん、農機具を入れて耕すこともできません。
また、常に水が張っていると地中の酸素が欠乏し、作物の生育にも影響が出てくるそうです。
農協からも、一旦水を抜くことを勧められたので、簡単に排水できる方法を考えました。
いろいろな排水方法
最も簡単なのは、溝を作り、排水することでしょう。水は勝手に上から下へ流れるので、うまく切っておけば何をしなくても水は出ていきます。
私の田んぼでもまずこれを実施しました。上の田んぼから水が落ちてくるので、上の田との境界あたりにぐるっと溝を切りました。
左が自分の田んぼ、右は上の段の田んぼ
これまでは上の田んぼの水がみんな我が家の田んぼに入って滞留していたので、これでだいぶ水が抜けました。
といっても...下から水が湧き上がってくるので、地下水位は5cmくらいしかありません。溝を深くすれば地下水位も下がりますが、
出口の高さが決まっているのでこれ以上溝を深くしても無駄です。
穴を掘り、ポンプでくみ上げるのがよさそうですが、電気を配線する必要がありますし、ポンプは高価です。
風車を使って、というのもちょっと考えましたが、手作りではすぐ壊れそうですし、音が出ると近所迷惑になります。
サイフォンを使って排水
そこで思いついたのがサイフォンを使う方法です。これなら動力もいりませんし、単純なのでうまくゆきそうです。
幸い、田んぼの横には用水路があり、高さもだいぶ低いので、ここへ排水することでうまくゆきました。
排水前
排水後
用意するもの
単純に水の入ったホースで湿田に掘った穴と用水路を繋げば水は出てゆくのですが、ホース以外にバケツとコック付きジョイントニップルというものも使います。
コック付きジョイントニップルは、ホースの片端につけておきます。もう一方の端はバケツに入れます。
田んぼに持ち込む前に、バケツとホースの中を水で満たします。
ホースを水道につないで水を出し、一杯に入ったらコックを閉めます。バケツも水を多めに入れておきます。
これを田んぼに持って行き、コック付きの端を田んぼに掘った水の張っている中に入れ、バケツは用水路に置きます。
コックを開けば、水がバケツの中に移動し、溢れて用水路へ排出されます。
水の通りが悪かったり、ゴミが詰まったように感じたら、バケツを持ち上げます。すると水がホースの中を逆流してゴミや泡を流し去るので、再び勢いよく流れ始めます。
...と単純なのですが、問題点が一つ。
穴とバケツの高さの関係です。バケツの水面と穴の水面はほぼ同一になります。バケツが低すぎると、穴の水が抜けてホース内に空気が入り、以降水は通らなくなってしまいます。
田んぼの穴の深さを十分にとっておく必要があります。
また、用水路田んぼの高低差が少ないとうまく水を抜くことが出来ません。田んぼの水位の高さは用水路の深さとバケツの高さで決まります。
なので、サイフォンで抜けるか否かは排水の高さに依存することになります。
バケツは逆流させるときに便利ですが、空気混入防止のために必要です。バケツの中にホースの端を入れていないと、通水量が減ってきた時に空気が入ってしまいます。
使ってみて
ゴミが詰まりやすいです。ジョイントのコックのところが狭いので、ここがネックになっています。外せばスムーズに流れますが、やっぱりコックは必要なので外せません。
1日経過すると詰まるか通りが悪くなっています。毎日一度は見に行く必要があります。
この排水方法は、あくまでも一時的に抜く方法です。下げて耕運したり、土中に酸素を取り込みたいときに有効です。
恒久的に地下水位を下げたいなら暗渠を設けるなど、別の方法で水を抜きましょう。
最終更新日: 2018-06-12 05:05:41