無加温温室のDIY検討
以前から温室が欲しいと思っていますが、いまだに持っていません。
「温室楽天 」という名前のものであれば、ホームセンターでも小さなものが比較的安く売っていますが、うまく活用されているのを見たことがありません。
街角で見かけるこうした温室は、中に枯れた草が茂っていたり、洗濯物が干してあったりするばかりで、うまき機能しているとは思えないです。
なぜうまく機能を果たせていないのでしょうか...どうも温室内の気温が極端になるためのようです。
寒い冬でも、温室内は昼は暑すぎ、夜は外気と同じになってしまいます。
そこで、温室の気温をうまく安定させる方法を考えてみました。
温室の気温を安定させるために
以下は頭の中で考えたもの、気温等は想像です。
管理しない温室の室温
普通の温室では、外気と比較して下図のような具合になっていて、
植物には過酷な状況になっているのだと思います。
赤:温室内の気温 青:外気温 温室のかたち
暑くなったら換気して、寒くなれば加温してあげれば、もちろん改善するのだろうけれども、
毎日朝晩温室に目を配れる人はそういないでしょうから、結局はうまくゆかなくなるのだと思います。
熱を逃がさない温室
まず室温を下げないようにするにはどうすれば良いか、考えてみましょう。
ガラスを2重にしたり、ガラスである必要のない北側のガラスを保温性のある壁にすれば、
熱は逃げなくなりますね。
赤:温室内の気温 青:外気温 温室のかたち
しかし、今度は最高気温が上昇してしまいます。太陽光の差し込む昼間でも断熱性が高いので、
日中はオーバーヒートしてしまいます。
熱を貯める温室
そこで、今度は気温の変動を減らすようにしてみましょう。
温室の中に比熱の大きいもの、簡単にいうと、レンガや水のようなものを温室内に入れておきます。
温室内の気温が上昇しようとすると、冷たいレンガや水に空気が冷やされて、なかなか暑くならない。
逆に気温が下がろうとしても暖かい水やレンガに空気が暖められて、なかなか室温は下がらない。
温室内の気温が安定すると期待できます。
赤:温室内の気温 青:外気温 温室のかたち
こんな温室であれば、管理の手間も要らず、植物もすくすく伸びてくれるでしょう。
では実際の温室の気温はどうなっているのでしょうか?
マイコンを使って温度計測装置を自作し、気温を測ってみることにしました。
センサーが2つ付いているので同時に2ヶ所の気温を1週間測れます。
温室の室温を実測
ホットキャップの気温を測る
温室は持っていないので、まずは簡単にホットキャップの実測から。
ホットキャップは夏野菜の苗などの生育初期にかぶせて保温し、成長を助けるものです。
笹で支柱を組み、農ポリをかぶせたものを2つ作りました。1つは穴を明けて通気できるようにしました。
外気温は以前から使っている気象観測装置を使用します。
1週間後、結果は下のとおり。(観測期間2002/2/17~23)
ホットキャップの穴の有無にかかわらず、結果がほぼ同じなのが意外ですね。
穴は昼間に温度が上がりすぎるのを防ぐためのものなのですが...あまり効いていません。
最高気温は焼く35度と、昼間は真夏並みになります。実際、中にあった雑草は1週間でかなり大きく
成長しました。
最低気温は、外気並みに下がると考えていたのですが、これも意外なことに、わずかに上になっています。
これは多分、上昇してきた地熱をホットキャップが逃がさないためなのだと思います。
夜間の温室の温度は地熱で維持できる
過去に計測した気温と地下40cmの地温のグラフを見てみましょう。
気温にかかわらず、地温はほぼ一定です。ですので、気温の下がる夜は地面の方が暖かく、
ホットキャップの中を暖めたと考えてよいと思います。
気温の低くなる夜間、太陽からではなく、地面から熱を温室内に取り込めるようにすれば、
温室の最低気温を高く維持できそうですね。
温室の気温上昇を抑える実験
今度は温室の室温が上がりすぎるのを防ぐ実験をしてみました。
先の実験で用いたホットキャップを、片方大きくし、中に水を入れた容器(気温抑制装置)
をたくさん入れて気温を計測しました。右側は比較用のホットキャップです。
この原理は簡単です。
温室(ホットキャップ)内の気温が上がれば、
冷たい水の入った気温抑制装置に熱が伝わり、気温の上昇が妨げられます。
気温が下がれば暖かい水の入った気温抑制装置から熱が染み出して、急激な気温の下降が和らげられます。
計測結果は下のとおり。
見事に最高温度が抑えられました。比較データよりも上がり下がりが遅れているのは、
気温抑制装置が働いている結果だと思われます。
最終更新日: 2021-11-02 17:12:51