川を登る石
石川県の白山のふもとを流れるある川の中に、周囲2丈(6m)余りもある大きな石が、年々少しづつ川の上の方へ登ってゆくという。
30年来目印をつけて観察した人の言うには、5、60間(100m)ほどは登っていったという。
その人によく話を聞くと、
昔、白山に登ろうとした一人の僧がいた。しかし、いかに努力しても白山に上ることが出来なかった。
僧は不甲斐なさに絶望し、白川に身を投げて死んでしまったが、その魂がこの岩に化けたものなのだ。
とのことである。
なるほど、毎年川上へ2丈あまりもある石が登ってゆけば不思議である。しかし、これは全く不思議ではない。
全て、この川に限らず、水勢の急な川では、小さな石は下へ流れるが、大きな石は上へ流れるものである。
なぜならば、大きな石が川の中にあると、石にぶつかった水流が石の前で向きを変えて、石の前面の底を掘る。
川上側が低くなるから、大きな石は川上側へ転がる。これを繰り返せば、大きな石は川上へ登ってゆくのである。
無知な人間が見れば、ずいぶん不思議に思えるであろう。
世の中にはこのような不思議は随分あるに違いない。
が、人が賢くなれば、昔不思議だったこともなんでもない事となるから、よく注意して驚かず、その原因を探るべきだろう。
化け物の正体見たり枯れ尾花、原因を知らず、つまらぬことに驚いているバカ者が多いから困る。
管理人注
著者さんは勝ち誇ったように書いてますが、よく考えると、なんか変。
水流で上流側が凹むから、そこへ落ちるのはわかりますが、
落ちるから下がりますよね。でも急流だから、上流側は高くなっているはず。
石はどんどん下へ潜ってゆくのに、上流へ進めば水位は上がるから、上流へ転がらずに埋もれてしまうのが正解だと思います。
最初にかかれたように、100mも上流へ転がり落ちるには、少なくとも10m位は落差が必要かなと思います。これでは川底に完全に埋没してしまいますよね。
100mも川上へ進む石が本当にあれば、やっぱりミステリーだと思います。
最終更新日: 2014-07-24 20:25:26