トンネルのミステリー・都市伝説の出来るまで
NHKの番組、
幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー File.04 で
都市伝説がいかに形作られるかを特集していました。
大変面白かったのでまとめてみました。
トンネルの怪談・都市伝説
日本人はトンネルの怪談が好きだそうです。
全国各地にトンネルにまつわる怪談が存在し、夏になると夜中に若者たちが車で肝試しに行くそうです。
怪談には類似性があり、「トンネルに車で入ってゆくと...が起きる」というもので、トンネルと車がセットになっています。
また、怪奇現象とともになぜその怪奇現象が始まったかの因縁話や、体験すると生じる不幸などもセットで語られます。
番組ではいくつかのトンネルについて紹介していました。
トンネル怪談の例
東京都西部のFトンネル
現象:白服の少女の霊がトンネルに現れる
原因:近くで殺人事件があった。幽霊はその被害者
結果:見たものに不幸がおとずれる
群馬県東部のSトンネル
現象:落ち武者の霊がトンネルに現れる
原因:近くに古戦場があり、戦死した例が現れる
結果:原因不明の事故を引き起こす
東京の墓地の下を通るトンネル
現象:老婆が走る車を追いかけてくる
原因:墓地との関連は不明
結果:とくになし
都市伝説・怪談の変遷
番組では、あるトンネルの話を例にして、都市伝説がいかにして生まれ、変わっていったかを紹介しています。
このトンネルでは60年も前から怪談話が語られているそうです。
現在の話
深夜トンネルに入ってゆくと、車が急に停止してしまう。
フロントガラスに血の塊が落ちてくる。
屋根にバラバラ死体がドスン、ドスンと落ちてくる。
40年前の話
昭和40年代、キャシー中島さんが、このトンネルで体験した話をテレビや雑誌で紹介したそうです。
トンネルに入ったら、フロントガラスに青白い掌が張り付いた。
走ってゆくと、突然屋根楽天 に何かが落ちてきた。
現在の話は、明らかに40年前の体験談に尾ひれがついたものですね。
キャシー中島さんがこのトンネルに出かけたのは、すでにこのトンネルに関する怪談話があったから、肝試しに出かけたのだそうです。
それでは、それ以前の話はなんだったのでしょうか?
60年前の話
昭和20年代に、川端康成がこのトンネルに関する短編小説を書いています。
実際の噂話をもとに書かれたものとされています。
このトンネルの近くには火葬場がある(実際にある)。このため、トンネル付近を車で走ると、空いた席にいつの間にか幽霊が座っている。
小説では、タクシーに乗った主人公が、運転手さんから「お客さん、隣の席に入っちゃいましたよ」といわれるが、主人公には見えないという話だそうです。
40年前の話とはかなり違いますね。実は、車の空いた席に霊が座ってしまうという話は当時全国的に存在していたそうで、このトンネルに限った話ではないのだそうです。
都市伝説の分析
この後、番組では都市伝説の成り立ちと変遷について述べています。
①なぜトンネルと車が好まれるのか
トンネルはあちらとこちらに繋がっている。このことがあの世とこの世のつながりを連想させる。
車の空いた席は、霊の場所という観念がある(お盆に例の乗り物としてナスの馬を供えるのと同じ考え方)。
②なぜ怪談話が途中で変わったのか
昔は車は個人で所有できるものではなかった。公共的なものであったけれども、時代が下るにつれ、個人で所有できるものになった。
60年前はタクシーでしたが、40年前は仲間の自家用車にみんなで乗って出かけています。
車が個人のプライベート空間になったので、霊の存在はプライベート空間に押し入ろうとする攻撃的な存在に変わってきたのだとの説明でした。
怪談話も、時代により変遷してゆくのですね。
トンネル物は、仲間で車に乗り、肝試し感覚で出かけるのにピッタリな都市伝説ですが、最近の若者は
車を持たないし、一人でネットばかりしている傾向が強いように感じます。
今後はトンネル物の怪談は減って、ネット物の話が増えるのではないかなと思います。
最終更新日: 2013-08-16 15:07:16