さくら草の栽培、手入れ、増やしかた
さくら草は一般に園芸植物をさしますが、サクラソウ科プリムラ属の植物は北半球に430種ほどが分布しています。
このうち、日本産のものは14種ほどあります。
西洋の近縁の園芸品種にプリムラがあります。
さくら草も、西洋で独自に品種改良されたプリムラも、どちらも同じサクラソウ科プリムラ属の多年草に属します。
歴史
サクラソウは、室町時代には栽培され始めたとされていますが、盛んになってのは江戸時代になってからです。
江戸時代、荒川流域の開発が進み、川辺の葦原のアシを製品の素材や肥料として利用するようになりました。
毎年アシを刈り取った後、野焼きをします。野焼き後の川原に、上流から種が流れてきて育ったのがさくら草です。
さくら草は荒川流域に大群落を作り、江戸の人たちは、さくら草見物に出かけました。将軍も見物にでかけたそうです。
荒川河川敷「尾久の原」で桜草を見物する人たち。「江戸遊覧花暦」より
やがて、さくら草は植木鉢でも育てられるようになり、園芸品種がたくさん作出されてゆきました。
さくら草の自生している地域は、関東以北は平地、関西では高地です。さくら草は涼しい場所と湿地を好みます。
サクラ草は別名、報春花、車花とも呼ばれます。
小林一茶の句に、
我邦は草も桜を咲きにけり
というものがあります。さくら草のことですね。
さくら草の入手方法
さくら草は2~3月頃に山野草の店に出回ります。ミズゴケに巻いた苗かポット苗で販売されるので、購入したらすぐに植木鉢に植えます。
さくら草の管理
植木鉢に植えるときは、後で行う「増し土」のため、鉢の縁から3cmくらいあけて土を入れます。
水を好みますが水はけはよくなるよう、鉢のそこにはゴロ土を入れます。水は鉢が乾いたらたっぷりあげます。
増し土作業
5月頃、花が終わると、葉の付け根辺りから根茎が成長し始めます。
この頃になったら、根茎の上に2cmくらいの厚みで土を被せます。増し土を行わないと、成長が悪くなります。増し土はさくら草栽培の要点です。
さくら草の花期は4月から5月くらいです。
休眠時の管理
さくら草は7月に入ると枯れてしまい、休眠に入ります。地下の根茎は生きているので、乾燥させないように管理します。
小さな雑草をそのままにしておくか、根の浅い草花を育てると、乾燥状態がわかって水遣りを忘れずに済みます。
さくら草の増やしかた
さくら草は芽分けで増やします。10月から12月、又は2月頃に根茎を堀上げ、芽を1つづつ分けます。
分けた芽は乾燥する前に新しい培養土に植え替えます。
さくら草の病害虫
さくら草は日本原産の植物なので育てやすいです。ダニなどの発生を防ぐため、風通しよくするなど配慮して育てましょう。
園芸品種とさくらそう会
江戸時代に栽培が盛んになったころ、愛好家集まって「連」と呼ばれる愛好会を作っていました。現在は「さくらそう会」という会があります。
さくら草の園芸品種は500もあるとされていますが、重複などもあり、さくらそう会では297種を認定品種としているそうです。
最終更新日: 2019-02-19 08:21:13