水中毒の体験談
親族が水中毒になってしまい、しばらく入院したのでその体験を書いておきます。
水中毒症は、水(普通の水です)を飲みすぎることによって発症します。
水は無毒なはずなのに、不思議ですね。水を体内に入れすぎると、血液の中のナトリウムのバランスが崩れてしまうのだそうです。簡単に言うと血が薄まるため。
そうなると横紋筋という体を構成する細胞が死んでしまい、死んだ細胞から有毒物質が出てきて症状が出るとのこと。低ナトリウム血症とか、横紋筋融解症ともいうそうです。
精神疾患(統合失調症)の人は治療薬の副作用で喉が渇き、水を飲みすぎてしまい、水中毒になることがあるそうです。
水中毒とは関係ありませんが、阪神淡路大震災の時に問題になったクラッシュ症候群は、体を挟まれて横紋筋が死んでしまうことによる、横紋筋融解症の発症だそうです。
水中毒の症状
親族をAさんとします。
Aさんは普段から水が好きで、井戸水を冷蔵庫に入れて冷やし、よく飲んでおりました。
水が好きとはなんだか不思議ですが、まあ、そういう人もいるのでしょう。
Aさんが倒れた日はちょっと暑かったのでいつもより飲みすぎたのでしょう。彼はいわゆるニートで、一日家にいるし、お金もないので、コーヒーとか煙草代わりに水を飲んでいたのかもしれません。
普通に夕食をしていたら、突然「うっ」と唸って倒れそのまま意識を失ってしまったそうです。(母親談)
救急車で近くの病院に運んでもらい、診察してもらったところ「胃の中も膀胱も水でパンパン」の状態だったそうです。
私に連絡があったのは夜遅くで、直接病院にゆきました。
Aさんはすでに病室のベットに寝かされ、胃と膀胱に管が入れられ、点滴をしている状態でした。
目を開けているけれども、視線はうつろで、声をかけても反応はありません。
時々ベットから起き上がろうとするので傍らに常に人がいて、起きようとしたら押さえつけなければいけません。
「押さえつけ要員」として私は呼ばれたのでした。
その夜は私と妻、Aさんの母親の3人で交代して押さえつけ、なんとか朝を迎えました。
ICU(集中治療室)にて透析治療
医師のいうには「うちでは手に負えない」ということで、50Kmほど離れた大病院のICUに入れることになりました。
大病院から迎えの救急車が到着し、Aさん、母親、この病院の看護士一人が乗って出発しました。
私と妻はそれぞれ自分の車で後を追いました。車を分散させたのは、何かあったときの足を多く確保するためです。
病院に着き、あれこれ手続きを済ませ、ほっとしたらもう夕方でした。
Aさんの症状も落ち着いているようでしたが、先生曰く「横紋筋融解症」になっているので透析をするとのことでした。
横紋筋融解症とは、横紋筋という細胞が死んでしまい、細胞内の成分が血液の中に入ってしまう病気だそうです。
この成分は体には有毒で、腎臓の機能障害を起こしてしまうのだそうです。
最初は水中毒と聞いて「水にあたるなんて、ばかな奴だな」と思っていたのですが、水中毒は死亡率も高く、恐ろしいものなのだと聞かされて愕然としました。
症状の経過
その夜はもう病院にいてもすることがないので、家に帰って休みました。
Aさんのことが心配でなりませんでしたが、もう病院に任せるしかありません。
翌日、ICUに行くと、Aさんのベットにたくさんの医師や看護士が集まっていて非常に驚きました。
しかし、そこにいたのは新たに入った患者さんで、AさんはICUの一番隅のベットでラジオを聞かされながら寝ていました。
既に意識ははっきりしていて、「とても気分が悪い」とのことでした。
一昨日の夜のことは全く記憶にないとのこと。
先生曰く、「もう生命に別条はないので、明日出て欲しい」とのこと。再び最初の地方病院に戻り、回復するまでそこで入院することになりました。
入院費用
ICUでの2泊3日とても高価で、17万円も請求されました。
地方病院から大病院へ移動する際に看護士一人が付き添ってくれましたが、「帰りはタクシーで帰ったから」と1万円ほどの交通費請求。
言ってくれれば車はあったのだから、送ってあげたのに、なんだか納得できません。
さらに大病院→地方病院へ移動の救急車では、
「帰り道はサイレンを鳴らせないから帰るのが遅くなってしまう。しかし、高速道路代は経費の関係で出ないので」
と帰りの高速道路代金の協力を求められました。
医者って平気でこんなこと言える人たちなんですかね。
そして退院
その後はもう心配要らないし、手かからないし、忙しいし、で見舞いに行かなかったのですが、
Aさんは2週間ほどの入院生活の後退院して戻ってきました。「水は怖い」といっていたのでよほど懲りたのでしょうね。
本人には良い経験になったと思います。
最終更新日: 2018-04-27 09:52:08