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レーザーカッターで布を裁断

自分で服を作るには布を裁断するための型紙が必要になります。
型紙楽天 は購入したり自分で製図したりします。
製図の方法には、手書きもありますが、CADを使うと便利です。

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いずれにせよ紙にパターンを書いて(印刷して)外形に沿って紙を切り抜き、これを布に当てて印をつけ、布を裁断します。
CADを使った場合、型紙を作る工程は、
製図→印刷→貼り合わせ→切り抜き
の作業工程が必要になります。結構な手間がかかりますね。
もしCADで作ったデータを使い、そのまま布を裁断できればこの複雑な工程を省くことができてとても便利です。
レーザーカッターという道具を用いるとCADデータを使ってそのまま布を裁断することができます。
今回大型のレーザーカッターを入手できたので実際にCADデータで布を裁断してみました。
アパレル用レーザーカッター

洋裁へのレーザーカッターの導入について考察しました。

レーザーカッターの紹介

SMARTDIYs さんという会社の出力の小さいレーザーカッターを購入しました。出力は3.5Wです。
洋裁用ということで特注で大きなワークエリアのものを用意していただけました。
ワークエリアは1m×1.5mです。価格は17万円ほど。
こちらの会社では他にワークエリア1m四方、1.5m四方のものも用意されているそうです。
このレーザーカッターはキット品なので自分で組み立てる必要があります。
また、このカッターには台が付いていませんですので台を自分で作る必要があります。
下に台がないとレーザーで床が焼けてしまいます。台の自作は必須になります。
アパレル用レーザーカッター組み立て前のレーザーカッター

洋裁用レーザーカッター組み立て後のレーザーカッター


利用できるCAD

私が作っているフリーソフト「洋裁CAD」を使いました。CADは特に機種を問わず、DXF形式で出力出来れば使えます。CADで製図して、切り抜くための線(縫い代線)だけをDXFファイルに出力しておきます。
これをレーザーカッターの制御ソフトSmartDIYs Creator(フリーソフト)に読ませればOK。
既に使用しているCADがあれば、試しにDXFファイルを出力し、制御ソフトで読み込めるか確かめておくとよいでしょう。
洋裁CAD洋裁CADでパターン楽天 を製図

洋裁CADDXFSmartDIY楽天 s Creatorで切断線を読み込む


裁断台の製作

設計中の裁断台設計中の裁断台

レーザーと台の隙間は3mmほどにキープしておく必要があります。
ですので台は正確な平面で作らなければいけません。
しかし、カッターのフレームが華奢なので、正確な平面で作ってもカッターの方がたわんでうまく隙間がキープ出来ない可能性があります。
そこで台には15箇所の高さ調整のできるアジャスターを取り付け、その上にベニヤ板を載せて高さを調整できるようにしました。
組み立て中の裁断台 組み立て中の裁断台

制作代金は大体1万円ぐらいです。
調整してみたところ、やはりレーザーカッターのフレームがたわむようで、一定の隙間を保つように調整すると、ベニヤ板の真ん中のあたりが低くなっています。
台のサイズは1.8m×1.4mほどになりました。
6畳の和室に置いていますが、かなりのスペースを取られてしまっています。
他にミシンを置いたりアイロンをかけたりするスペースが必要なので6畳の広さではちょっと狭いです。
受けがべニア板なので、裁断するとべニアが焼けてしまいます。他によい材料が無かったので仕方なくべニアを使っています。たくさん裁断して焦げ跡だらけになったら交換する予定です。
写真には写っていませんが、埃避けのカバーも必要です。駆動ベルト等に埃が挟まると動作不良の原因になるので、使わないときはカバーをかぶせておきましょう。
完成した裁断台完成した裁断台


実際に切ってみました

薄いデニムの生地をカットしてみました。
身頃1つにだいたい10分ぐらいかかります。
レーザーカッターはソフトウェアからの設定で移動速度と出力を変更することができます。
薄い布は移動速度を早くして出力を低く設定します。厚い布は逆に遅く高く設定します。
カットしたデニムは9オンスの厚みです。これに対して移動速度270mm毎分出力100%の設定ででうまく切ることができました。
1回で切らず何回も同じ位置をトレースしてみるという方法もあるそうです。そちらの方が煙が出にくいそうなのですが、今回は一回で切ることにしました。
何度も同じ場所を繰り返して切ると移動誤差さで切る位置がずれてしまうのではと思うのですが、この辺りはまだ確認していません。
小さな物だったら問題ないように思いますが、身頃のような大きなものは誤差が大きくなりそうです。

ワークエリアは1×1.5mなのですが、幅0.9mのべニア板が相手なので、身頃は0.9×1.5m以内に入れる必要があります。
大体のものは入ると思うのですが、型紙を使うのとは違いギリギリまで寄せることが難しいのと、 布をあらかじめ1×1.5m程度のサイズに切っておく必要があるので、残り布がたくさん出てしまいます。
レーザーカッターのフレームの下に布を通すことができれば大きな布も配置できるのですがフレームと台の形状から通しにくいです。この辺りは今後改善できそうですね。
台の形状をもう少しうまく設定できていれば大きな布を使えたかなと思います。

型紙を使った裁断では、左右対称のものを切るときは、布を半分に折って2枚重ねて切ることがよくあります。 レーザーカッターではこれは難しいです。出来ないことはないと思いますが、普通に2回カットした方がよさそう。

稼働中は常にレーザーカッターの横にいてうまく動いているか監視している必要があります。
レーザーは布が切れるほど強力なので万一目に入ったら失明してしまいます。稼働中は防護メガネを常にかけておきます。

切断中は煙が出るので換気をしておきます。防護メガネをしていると煙が見えないので自分の自分の方に煙が来て吸い込んでしまうことがあり、結構つらいです。
また出火する危険性もあるので、スプレータイプの窒素が出る消火器をすぐに使えるように横に置いています。

まだ色々な布は切った経験がないのですが、化繊の布を裁断したら有毒な煙が出そうです。
焼き切るので化繊を切った場合は端ミシン楽天 は不要になるかもしれません。
その代わり切り口が尖って着たらチクチクするかもしれません。

レーザーカッターを使えば型紙が不要になるように思えますが、実際には必要な部分があることに気付きました。
ダーツの位置などです。こうしたところは切るのではなく、印をつける必要があります。
ダーツ

布地の裏からレーザーをあて、ダーツのところだけは速度と出力を変えて刻印するようにしたら、うまくゆきそうですね。 この辺りも今後確認してみます。

洋裁にレーザーカッターを導入する場合の長所と短所

〇長所
データをつかってすぐに裁断出来るので型紙を作る手間が無くなる。
ペーパーレス化ができるので、型紙の保管が不要になる。
サイズ変更、デザイン変更してもすぐに布に反映できる。
正確できれいに裁断できる。
レーザーで裁断した布 布の切り口

×短所
布の無駄がたくさん出る
残り布

危険
 煙が発生するので吸い込まないように注意
 火災に注意する
 レーザーが眼に入れぬように注意する
稼働中は常に横にいて監視しておく必要がある
広いスペースが必要
全ての布が切れるわけではない
それでも型紙は必要(かもしれない)

まとめ

レーザーカッターはとても優れたものだと思いますが長所ばかりではなく、やはり短所もあります
レーザーカッターを使いたいなと思う方は自分との相性、作業スペースなどをよく考えて導入を検討していただけたらと思います。
私のように趣味で洋裁をしている人間には、やはりオーバースペックだと感じます。
たくさんいろいろな服を作る場合にはとても有効だと思います。洋裁教室、洋裁店、小規模なアパレルブランドといったところで導入するのがよいと思います。

最終更新日: 2019-08-04 14:57:35

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Author: Tomoyuki Ito

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