エンジニアードプリントで柄と一体の服作り
服と布の柄のデザインを一体でしてみたというお話です。
布の柄の作りかたは何通りかあります。
大きく分けると、染めた複数の色の糸を組み合わせて布を織り柄を出す方法、織った布に柄を染め付ける方法、の二つです。
どちらも服のパターンとは関係なく柄を作りますから、自分で服を作るときには、気に入った柄を選び、ちょどよい位置に柄がくるようにパターン楽天 を切り抜くのが普通です。
服を作った人なら経験があると思いますが、気に入った柄がなかなか見つからなかったり、見つかっても色合いがいま一つだったり、身頃の間でうまく柄が繋がらなかったりします。
これは柄を作る際にパターンを考慮していないために起こることです。
テキスタイルをデザインする人と服をデザインする人は別です。なので、テキスタイル側は具体的にどんな服に使われるのかを知ることはできないし、服をデザインする人は手に入る柄の中から選ぶしかないわけです。
布に直接プリントが可能な、テキスタイルプリンターが普及しつつあります。
今までテキスタイルを作る人と服を作る人は別でしたが、これをうまく使えば、服とそれに合う柄を一緒にデザインすることが出来そうですね、しかしそれには道具が足りません。
パターンに柄を配置できるCADがあれば、テキスタイルプリンターと組み合わせてエンジニアードプリントが実現できます。
そんなわけで、私の開発しているフリーソフト洋裁CADにテキスタイルプリント機能を追加しました(この文章を書いている時点では、まだ完全版は開発中)ので紹介します。
あらかじめ服のカットを想定して柄を配置・プリントした生地の柄のことを、エンジニアードプリント(engineered print)、またはエンジニアード柄といいます。
柄合わせ機能
一番の特徴が、柄を一致させる機能です。服のダーツの部分や身頃間では、柄を連続させることは難しいです。
洋裁CADにイメージをパターンに沿って変形させ、身頃やダーツ間で柄を連続させる機能を持たせました。
下の画像、左側は単純にパターンにイメージを張り付けて切り取ったものです。右側はダーツと、隣の身頃とで柄が連続するように変形する処理をしたものです。
キャスケットに仕立てると下のようになります。
平面の世界地図を変形させて、キャスケット楽天 上に連続した地図を載せました。
イメージ配列機能
曲線に沿ってイメージを並べます。
スカートの裾に沿って柄を並べるのに最適です。下は魔女の帽子のツバの柄に使用しています。
ハンチングの柄にも入れてみました。
範囲切り取り機能
イメージをCADで製図した線で切り取ります。
切り取ったイメージを他のイメージと組み合わせて配置すると、こんな柄のパターンができます。
作った身頃を裁ち合わせ図の要領で並べます。プリント後、洗濯すると布が縮みますが、洋裁CADにあらかじめイメージを伸ばす機能をつけておきました。
縮み量を予想して、その分だけ大きく出力します。布は縦糸横糸方向で縮み量が異なる場合があります。なので、縦横個別に延ばし量を変更できるようにしてあります。
服の製作
上記3つの機能を使ってイメージを加工すれば、大概の柄は作れそうです。
実際に製作するとこんな感じになります。
ロールプレイングゲームに登場する服をイメージしてデザインしました。
抱いているドールの服は人間用のパターンを流用して作っています。
洋裁CADは原型型紙を差し替えることで男女間のパターン変更が可能で、数値を変更することで形状も変えられます。
作ったパターンの流用が可能なことも、洋裁CADの特徴の一つです。
最終更新日: 2019-03-04 11:46:32