庭園図集
昭和11年に刊行された著作権保護期間満了の「庭園図集」という書籍から、内容を抜粋して掲載しています。
仙洞御所 醒 亭の庭
仙洞御所は京都の御苑の東南部に位する、老樹巨木鬱々と茂る一廓の地域で、徳川氏、後水尾上皇のために特に意を用いて作った庭園である。
これはその庭の東南に位する醒花「亭のほとりで、朝鮮石の燈籠と手洗の詳細景である。
桂離宮の庭園1
桂離宮庭園は小堀遠州の作で、廻遊式庭園の模範として、造園家の間に貴ばれるものである。一本杉に陰くれて立つ松琴亭を中心とする庭中第一の勝景である。
桂離宮の庭園2
松琴亭の近景、池の模様、中島、配石の有様、一 一木一草を粗略にせざる、江戸造園の粋である。
栗林公園
栗林公園は江戸時代に於ける地方の名園中傑出したもので紫雲 山の松林を背景として、池六、山丘十三を以て構成する、構想雄大、地割複雑なる廻遊式林泉である。
池上に浮べる三島は、古来、真行草三體の回別を表し、近景の優月橋は、庭園の橋としては頗る大きく且つ佳作である。
昌徳宮楽善後庭(朝鮮)
純朝鮮風の庭園で、後方丘を負うて高まる虚に、ガーデンテラスを重ね、テレースには夫々庭木草花を植栽し、怪石墓を節り、
温突の煙突も装飾を施して庭園工作物の一つに用いられある。庭園の周囲にめぐらす、境の美しい意匠にも朝鮮の特色が揚されている。
アンダーソン邸 庭園(米國)
欧米の近代式庭園の代表的なもので、テラス、花檀、蔓棚、壁泉、彫像、節電等 の庭園建築的要素を総合して、実用的な建築式と風景式庭園の折衷新庭園である。
二條離宮の庭
日本庭園の特色である岩組の壮観。 豪宏な桃山式建築とバランスをとる爲めに小堀遠州が力の表 現に心血をそいだと云ふ庭である。
英國の日本式庭園
バックハースト公園の日本式庭園で、自然の池を利用しその水辺や島を自然園風に取扱い、燈籠や八ッ橋や岩組等を布置してある。
ヴェルサイユ宮苑
フランス式造園の完成者アンドレー・ル・ノートルの不朽の傑作と称せられる、ヴェルサイユ宮は刺繍花壇、水花檀、オレンジ園、水劇場、大噴泉、大雲が、大並木等を縦横に駆使した雄大なものである。
戸田別邸(大垣市)
戸田別邸(大垣市)五島甚之助氏設計になる廻遊式林泉、護岸は乱杭又は石を一段で積上げ、水を浅く且つ水の代り易い様に二つの橋の上手で堰き止めて池を三つに分け、土の流れそうな所には芝を張る。土地がら水は豊富で絶えず水の音が聞ける。
近代洋風建築
モダーンな住宅建築に相応しい新興庭園で、実用的な小建築園の実況とその設計楽天 図を示す。設計者はエー・ルールシヤである。
欧風建築園
近代式の実用的な公共造園の一例
日本における洋風園
日本における洋風公建築造園の一例
門から玄関まで
関根要太郎氏設計の柳井邸(東京渋谷)の外観、地所の傾斜を利用した門から玄関までの植込みの模様を示す。
数寄屋風の玄関
数寄屋風の玄関に相応しい、前庭の岩組み自然石の石段も丸太造りの車寄せとよい調和を保っている。
最終更新日: 2019-02-20 10:07:30