無償で使える3D-CAD
3Dプリンターが流行っている影響でしょうか、ここ数年で数種類の無償(フリー)の3D-CADが登場してきました。
今までは仕事で3D-CADを使っていたのですが、退職後も使いたいと考えているので、無償で使えるCADを調査してみました。
モデリング方法による分類
3D-CADのモデリング手法にはヒストリー型とノンヒストリー型(履歴型ともいう)に分けられます。
前者は高機能なCADで使われているもので、作成手順を記憶していて、あとから形状を変更できるものです。
例えば、箱を作りたい場合、中に入れるものに応じて、寸法を再定義するだけで大きさを変更することができます。
ノンヒストリー型で同じことをする場合は作り直しです。
ヒストリー型は変更が容易ですが、変更によって辻褄が合わなくなり、エラーが出たりします。なので、あらかじめどのような変更をするのか考えながら作る必要があります。
初めての人はノンヒストリー型の方がとっつきやすいと思います。
用途による分類
CADによっては得意な作成対象があります。
最近話題の3Dプリンタ用、電気関連に強いもの、など。一般的な使用では機械設計用のものを選ぶとよいでしょう。
提供者の思惑
3D-CADの有償版は個人ではとても払えないような高価なものです。
それをあえて無償で提供するのですから、利用するときは提供者の思惑も考えて選ぶべきです。
以下は私が勝手に想像したCAD提供者の思惑。
シェア拡大を狙う:学生や初心者にユーザーになってもらい、使う人を増やす。使う人が多ければ、企業が有償版を選定するときに有利になる。
部品の購入を促す:CADと同時に自社の部品データも提供して、自社部品を使った製品を設計楽天 してもらう。このことで自社製品の売り上げを伸ばす。
単純に物作りが楽しい:LINUXなどのフリーソフトは利益が目的ではなく、物つくりが好きであるとか、自分の作ったもので世の中をよくしてゆきたいという
動機で作られている場合が多いようです。3D-CADではFreeCADがこれにあたります。
私の選択
個人的にはAutodesk 123D DesignとFreeCAD、Fusion360をインストールして使ってみましたが、現在はFusion360楽天 だけを利用しています。
AutoDesk123は機能がなさすぎ、FreeCADはまだまだ開発中で、ちょっと複雑なものは出来ない状態でした。
Fusion360
FreeCAD
10年くらい前にも無償3D-CADを使っていたことがあるのですが、使用中にサポートを打ち切られてしまい、今まで作ったデータも使えなくなってしまったことがありました。
ですので、今回は「将来永く使える」ことを重視して、企業の提供するものは避けたいのですが、結局前回同様の状況です。
気持ちとしてはFreeCADを使いたいのですが...。将来的にFreeCADも機能が充実してきて、使えるように堪えられるようになれば、こちらに乗り換えようと考えています。
現在入手できる3D-CADとその特徴
DesignSpark Mechanical
会社:RS C0mpornents
形式: ノンヒストリ
商用利用:可
用途:電気設計用
特徴:コネクタやリレーなど、多くの部品がダウンロード可。無償なのは基本機能。図面作成、GES・STEPの再編集などの拡張機能は有償。
Fusion360
会社:AutoDesk
形式:ヒストリ/ノンヒストリ
商用利用:不可(有償版を利用)
用途:機械設計用
特徴:有償ソフトの無償版、クラウドベース。
Autodesk 123D Design
会社:AutoDesk
形式:ノンヒストリ
商用利用:不可
用途:3Dプリンターのデータ作成用
特徴:機能が少なく、3D-CADが初めての人でも覚えやすい。
PTC Creo Elements/Direct Modeling Express
会社:PTC
形式:ノンヒストリ
商用利用:可
用途:機械設計
特徴:有償ソフトの無償版で機能制限あり。
FreeCAD
会社:-
形式:ヒストリ
商用利用:可
用途:機械設計
特徴:唯一の?オープンソース3D-CAD。他のCADは会社組織が提供しているため、会社の都合で有償になったり開発中止になる懸念があるが、FreeCADはその懸念が少ない。開発途中。
最終更新日: 2018-08-08 09:26:54