肩ダーツ補正のしかた
型紙製図をしていると、どうしても描きにくい線が出てくることがあります。
その一つ、肩ダーツの部分を洋裁CADを用いて描画する方法を解説します。
肩ダーツとは
下の図の三角形の部分。平面的な服にふくらみを持たせるためのものです。
この2等辺3角形の二辺を縫い合わせることで、背中の肩甲骨の部分のふくらみに合わせた服を作ることができます。
肩ダーツの補正
しかし、上の型紙楽天 はうまく縫い合わせることができません。
ダーツを閉じて前後の肩線を合わせてみると...
隙間が出来てしまいます。
なので、後の肩線は直線ではなく、山形に折れた形にならなければいけません。
しかしこの補正、実は正確に描くことはできません。
洋裁型紙製図には他にも「描けない」線があります。たとえば、袖山線。
袖ぐり線と同じ長さで書こうとしても、正確に描くことはできません。
なぜなら、袖山という曲線の長さは、描いてみないと判らない「結果」であって、描く前の「条件」にはできないのです。
同じように。肩の山も「描いてみないと」正しいか否かを判定できないのです。
洋裁CADの肩ダーツ補正方法
洋裁CADでは、こうした「描けない線」を描くために、「不定値」と「繰り返し」という要素を取り入れています。
補正線を描く場合は下記の順に製図をしてゆきます。
まず線aを描きます。角度は「だいたい」、これを不定値とします。
次に線bを伸ばしてa,bのエッジにします。
cをbと同じ長さに延長します。
cの先端から線dをひきます。
この時、線ab角+線cd角=180°となるようにdの角度を決めます。
また、dの長さは、線a長さ+線d長さ=前身頃肩線長さ、となるようにします。
こうして描画すると、上のようになります。
線dの終端が、修正前の肩線上になければいけないのですが、こうして描くと一致することはありません。
洋裁CADでは、ここで繰り返し要素を入れます。
繰り返し要素には、評価数値と、目標数値と、不定数値を設定します。
するとCADは不定数値を調整しながら描画を繰り返し、目標数値と評価数値が一致するまで再描画を続けます。
人が何回も線を描くと大変な時間がかかりますが、PCが行えば一瞬です。
この場合は、最初に描く線aの角度を不定値、線d端と補正前肩線との距離を評価値、目標値を0と設定します。
補正後の型紙
こうして補正した型紙は、下の図のようにぴったり縫い合わせることができます。
最終更新日: 2016-03-12 17:48:35