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オリジナル怪談 第8話:ブログの住人

人のブログを読むのが好きで、いろいろな人の書くブログを読んでいる。
最近見つけたブログは、すでにだいぶ前から放置されているもの。
最後の日付は「今日が私にとって最後の日です」という内容で驚いた。
最初の方を読んでみると、内容は全く違っていて、「FXで大金持ちになってセミリタイアしよう!」という内容だった。
毎日勝った負けたというFXの投資履歴が続いてるのだけど、ある日から様子が一変する。

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大震災

この人は震災時の為替変動で証拠金のすべてを失ってしまったらしい。
失ったといっても借金はないのだから、気を取り直して働けばいいのだろうけど、彼は絶望を選んでしまった。
「人生に絶望しました。今から100日後に自○します」。
100日生活できるくらいのお金が残っているから、それがなくなるまで生きようということだった。
翌日からカウントダウンが始まり、ちょうど100日目で終わっている。
それから更新はない。本当に死んでしまったのだろうか?気になる、気になる...
なにげなしに管理ページのログインページにIDとパスワードを入力してみた。すると、あれ、入れた。

無人の部屋

適当に入力したのに、なぜか一発で入れてしまった。
恐る恐る覗いてみる。人の部屋に勝手に上がりこんだような罪悪感とともに今まで味わったことのないスリルを感じる。
中は人が住まなくなって久しい、薄埃の積もった部屋のようだった。
「実は生きてます」
つい出来心でブログを更新してしまった。

翌日再びブログを見てみると、たくさんのアクセスがあり、コメント欄にいくつもの投稿が寄せられてきた。
「思いとどまったんですね、死んじゃいけませんよ」
「なんだ、ネタでやってたんか、」

自分でもブログはしているのだけど、ほとんどアクセスの無いつまらないブログだ。自分のつまらない日常を書いているから、誰も来ないし誰もコメントしてくれない。
反応があるって、こんなに面白いのか!
悪いとは知りながら、再びブログを更新してしまう。

ついには、他人のブログであることなどすっかり忘れ、毎晩書き込んでは反応を楽しみにするようになってしまった。
(もう持ち主はいないのだし、誰にも迷惑かけていないし)最初は感じていた良心の呵責も消えてしまった。
(もう持ち主はいないのだから、自由に使わせてもらおう。)
そのブログの住人になりきって、勝手に作った身の上話など描きつづっていった。

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焦り

ところが、1月くらい経ったころからアクセスが減り始めた。
「もう飽きた」
「つまんね」
そんなコメントが入ってくる。
アクセス数を上げようと焦れば焦るほど読者は離れてゆく一方だ。
所詮はねつ造した薄っぺらい人物像。もともとつまらない人間が書いているのだから、つまらないのは当たり前か...

毎晩、今日は何を書けば読者を喜ばせるだろうかと悩みつづけ、ついによいネタを考えついた。
なぜこんな簡単な事に気付かなかったのだろう。
さっそくブログに書き込んだ。これでまたアクセス数が増えるに違いない。

「やはり人生に絶望しました。今から100日後に自○します。」

最終更新日: 2016-08-02 07:45:17

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