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実験養蜂新書

実験養蜂新書表紙

実験養蜂新書
1907年出版の本なので、ちょうど100年前のものになります。リンク先は国会図書館で、本の中身を読むことが出来ます。

養蜂場吉田式採蜜機

文中では著者の吉田さんが考案した「吉田式巣箱」を解説しているのですが、 なぜか扉絵には「玉利式」を使っています。巣門の上の大きなものは「表札」だそうです。

吉田さんは日本ミツバチを使って養蜂業を営んでいました。
「近来我国産のものよりも、イタリヤ産、サイプリヤン産の種類が優等であるかのごとく 言い伝ふるものであるが、余は実験の結果から、本邦で飼養するには日本種即ち本邦在来の ものが気候風土に順和せる点からして、他種に優る」

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と「断言」しています。巣箱楽天 が高床式になっていますが、これは底から巣屑が落ちるよう になっているためです。私も日本ミツバチ楽天 を飼っていたときは毎週末巣底の掃除をしてスムシが 入らないように注意していましたが、この方法なら掃除は要らないのでしょう。

養蜂の適地

丹波、山城、大和、伊賀、甲賀、甲斐、近江、美濃、飛騨、信濃、上野、下野、岩代など、 絶えず花が咲き、比較的寒冷で高層の土地が適しているとのこと。
地層の高低も大きく影響するらしく、「海面を抜くこと」2000尺くらいが最も適当。 5000尺以上は全く不適。500尺以下も種蜂永続に甚だ困難をきたす。とあります。
私のように暖かい岡山でしかも海抜10mの地で日本ミツバチを飼育するのは 無理ってことになりますが、実際には飼えているので本の記載が全く正しいとはいえないようです。 ただ、高低差や影日向のできる地形であれば時期をずらしていろいろな花が咲くので、 適しているという考えは合っているように思えます。

吉田式日本ミツバチ巣箱

吉田式巣箱


日本ミツバチの巣箱
この頃は、在来の巣箱と比較して巣板式の巣箱を「改良巣箱」と呼んでいたようです。 「玉利式」「青柳式」等があったらしい。 吉田さんは日本ミツバチで養蜂をしていたので、日本ミツバチ用に独自の改良を施して 「吉田式」を作ったとのこと。一番大きな相違点は、高床式で底が一部金網になっており、 巣屑が下に落ちる構造になっていることです。この点は現代西洋/日本ミツバチの巣箱の差 でもありますね。

吉田式巣箱台 吉田式巣箱

巣箱台と巣箱。
他に屋根もありますが、図はついていません。継箱の記述がないのは 日本ミツバチの巣が西洋ミツバチほど大きくならないので不要なためだと思います。

吉田式巣枠

巣枠の構造
巣礎は使わず、ミツバチに作らせる枠です。4枚の板と小口が3角形の角材を使って作るとのこと。 現代では針金を使って巣礎を補強しますが、「蜂が嫌う」ので使っていないそうです。 この構造では遠心分離機にかけたときに壊れてしまいそうですが、文中では特にそのことに ついては触れられていません。

吉田式遠心分離機

吉田式採蜜機 吉田式採蜜機 吉田式採蜜機 吉田式採蜜機 吉田式採蜜機

で、吉田さんが使っていた遠心分離機がこの上のもの「吉田式採蜜機」です。2面がガラスの 箱の中に巣板を入れ、遠心力でガラス板に飛び散ったハチミツは下のタライにたまるように なっています。
うーん、なぜガラス使うの???
隙間もあるので蜂場で使ったら大量のミツバチが分離機に落ちて大変なことになりそうですが、 そのことについても一言も触れられていません。

分封前に女王蜂はピーと鳴く

分封
この頃の他の本に(西洋ミツバチ)第二分封の前日、巣箱から「ピー」という鳴き声が聞こえる。 という記述がありましたが、日本ミツバチも同様に鳴くそうです。

これは、分封予測に使えそう!

この部分の記述が実に美しく、ちょっとだけ感動したので原文を引用しておきます。

養蜂家は、此の季節に於いて、静かに巣内の動静に注意すると、女王は分封の準備整頓せるを 認むれば、その夕刻から、盛りに留別の宴を張るものの如くで、時には清雅微妙の音楽を聞く ことがある。其の音響は恰も天人の吹笛を聞くが如くで、凡そ一分毎に「ヒユー、ウー」と 細く高く響くところの最も奥床しき特別なる翅音が上る。で、奏楽は夜を徹するも止まぬが 東天紅を帯ぶると、女王は先づ天候を観測し、雨天又は曇天なれば分封を延期し、天気晴朗で 微風塵を揚げず、胡蝶翩々として野花に戯れ、池沼温かにして鯉魚浅汀に跳るとも云ふべき 好日和なれば、例の言葉は愈愈音響を高め、其の度を速め緩曲急調の妙技、人をして恍惚たら しむるものである。

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読んだ私も恍惚となりましたです。
巣箱にセンサーを取り付け、特定の周波数の周波数の音を検知して警報を出す ようにすれば、分封予報機が完成できるでしょう。数年前に海外のサイトで同様に音を感知して 予報する装置を見つけて試作した事がありましたが、この装置は働き蜂の羽音の周波数変化を 検知するものでした。「ピー」という音を女王蜂が出すのであれば、働き蜂の羽音との区別は 容易なので、より確度の高い装置が作れるでしょうね。

吉田式巣箱を復刻しました

この本に載っている巣箱を復刻してみました。
詳しくはリンク先リンク先をご覧ください

タイトル : 実験養蜂新書
タイトルよみ : ジッケン ヨウホウ シンショ
責任表示 : 吉田弘蔵著
出版事項 : 東京:杉本翰香堂,明40.8
形態 : 132p;19cm
NDC分類 : 640
著者標目 : 吉田,弘蔵
著者標目よみ : ヨシダ,コウゾウ
全国書誌番号 : 40063142
請求記号 : YDM64788
西暦年 : 1907

最終更新日: 2017-09-13 08:41:14

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