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蛇の祟り(長野県東御市)

長野県小県郡東上田村(現在の長野県東御市)に会右衛門という人があった。この家の裏は山続きで、その山の麓に小さな池があった。
この池には昔から1足の大きな蛇が住んでいるので、それを代々弁財天と崇め、小さな祠を立てて毎日ご飯を炊いて供えていた。
すると、蛇も慣れたもので、出てきてはそのご飯を食べていた。
暫くは何もなかったが、寛政10年、会右衛門は商用にて上州高崎へ行き、留守は倅の豊吉にまかせておいた。
ある日のこと、豊吉は草を刈り取っていて、誤って蛇のしっぽを切り落としてしまった。
豊吉はビックリしたが、その晩から熱を出して寝込んでしまった。
他人には見えないが、豊吉の眼には、丸太のような蛇が出てきて自分の体中を締め上げているのが見える。
もがき苦しんでいる様を見て、家人は心配し、いろいろ薬を手配したものの、一向に効かない。
仕方なく、祈祷まで頼んだが、何の験もないのみならず、いよいよ死を待つばかりとなってしまったため、さっそく当主の会右衛門に知らせることにした。
会右衛門は大層驚いたが、知恵のある人だったから、急いで用事を片づけて帰宅し、豊吉に会いもせずにまっすぐ池のほとりの祠に向かった。
会右衛門は、「祖父の代より我が家の鎮守としてお前の如き虫類を、弁財天などといって祭り、日々飯まで食わせてやったのに、しっぽを切られた程度で怨み、祟りをなすとは悪い奴だ」
と言って祠を打ちこわし、蛇を見つけ出してうち殺し、皮を剥ぎ、切り刻んで酒の肴にして食ってしまった。
この振る舞いに、周囲は大層驚き、下を巻いていたが、
会右衛門いわく「おれはあんな蛇食ってやったのに、お前は尾を切ったくらいで寝込むとは何事だ」と倅を叱責した。
倅は叱られてのち、すぐに回復したとこことである。
神経の弱い人間はなににでも心配して病気を起こしてしまう。注意したらよかろう。

管理人注
普通の展開では、蛇に必死で謝るのでしょうが、逆に食ってしまうとは...人間って恐ろしいですね。
耳袋に書かれているエピソードにも、幽霊や稲荷を恫喝する人の話が出てきますが、昔は物の怪の類は身近な存在だったのでしょうね。

最終更新日: 2014-07-26 21:31:22

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