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材木継ぎ手の種類

材木の継手の種類について調べてみました。文面と図は著作権満了の本から引用しています。
改良日本家屋構造という本です。

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アリ継

鳩尾型の継手。
気の長さを要することなく、かつ工作の手間も少ない。
継手中もっとも簡単なもの。として使用される。
用途:安長屋、仮建物の土台桁、母屋の棟木等に持ち出し継ぎとする。
略したものに、腰掛(敷表)をなくし、目違いを省略したものがある。
アリの勾配は、杉松であれば、根元で1寸開きを2分とする。
堅木であれば1分5厘とする。
土台を真継とする場合は男木を下にする。
アリは継手の他にアリ掛け(根太等の仕口)アリ落とし(棟束へ縁蔓を取り付ける仕口)またはアリ差(箱の側板の組手)等として広く用いられる。

鎌継

図面の男木の解以上を鎌という。
用途:アリ継とまったく同様だが、やや上等に属する。
男木の先端およびケラ首2,3分の滑りこう配をつけて胴突を密着させる。
鎌の墨をつけるには、ケラ首に矩尺(幅5分)を当て、その内外に墨をつけ、鼻先は内側、根元は外側を ひきつけ、ほぞ長さの中央に矩手に墨をすれば2分5厘づつの鎌となる。
目違いと腰掛を略したものもある。また、ケラ首の左右の胴突に目違いを入れるものもある。

金輪継

土台出し桁、または柱の根継等に用いる。
見えるところに使い場合は図の下側のように目違いの角を落とす場合がある。
栓として用いる木は堅木を使う。

尻挟継

金輪継とほぼ同じ。目違いを側面に出さぬようにしている。

追掛大栓継

軒桁等の上から降ろして仕掛ける場合や、丁寧な母屋の挟み梁の継手とする。
仕口は大体金輪継と同様だが、継ぎ合わせを容易にするために長さの中央あたりに 1/10くらいの滑りこう配をつけて側面から2本の大栓を打つ。

鯱(車知)継

足堅胴差、梁桁等の横材を柱等へひきつけるために用いられる。
材木継手1

箱目違継

2方、または3方から見える部分に用いる。
目違いが凹型をしているため、箱という。
3方は地決めが突き付けのように見える。外観に出ない1方から鯱(車知)を打つ。

隠金輪継

店框、出し桁等の2面が外観に現れ、2面が隠れる部位に用いる。

舟ほぞ

下面が船底型の雇長ほぞのことを言う。柱の両面へ取り付けた横木等を連結するために用いる。
柱の根継をした場合に左右の足固めを取り付けるときなどに使う。

イスカ継

2方もしくは3方は現われ、少なくとも一方は現われる場合に用いる。

箱台持継

隠し金輪継は込め栓を打つが、この継手はシャチ締めとするのを相違点とする。
用途は隠し金輪と同様、店框、出し桁、縁框など、2方が現れ2方が隠れる個所に用いる。

丸桁組手

懸け鼻などほかの横木へ取り付ける方法の一つ。
箱違継と同様であるが、ほぞが薄いことと鼻栓のある点が異なる。
材木継手2

雇ほぞ

竿を作り出さず、別の木(堅木を用いる)で作り、雇い入れる方法。
柱へ梁や胴差が3方4方より取りつく場合に用いれば柱が弱らずにすむ

貝の口継

塔の中心柱柱の継手。
上木、下木、同様に木口を図のように4分して相対する凸の2部分には梁輪を施し、 凹んで相対する2部には小穴を設ける。

箱継

上木下木共同様の形状で、シャチを打ち込んで固める。
門柱のようにニ方が現れる個所に用いる。
門柱の地中に埋もれる朽ちやすい部分などは新築の時からあらかじめ継手をしておくこともある。

向斜継(むこうはすつぎ)

町屋造り店の框等に用いる継手。正面が斜になるためこの名前がある。
見え隠れの下端に目違いがある。後ろ面にシャチを打つ。

四方松皮継

四面どこから見ても鎌継のように見える継手。現在ではあまり用いられない。

三味線継

三味線竿の継手には胴突きの目違いの代わりにダボを立たせる。
材木継手3

土台隅ほぞ差

土台がT字型またはL字に仕掛ける仕口。
一方の土台へ他方が目違いに入り小根ほぞとし、鼻より割くさびを打つ。
大きさの割合は4寸の土台であればほぞ厚さ1寸2分、目違いの幅6分長さ5分とする。
上端点線の正方形は柱木口を示す。
柱根ほぞは小根ほぞとし、Lのところは隅留めほぞのごとく扇ほぞとする。

隅留ほぞ

土台隅ほぞよりは幾分外観を必要とする個所の隅仕口。
目違い入り小根ほぞ、隅内外は留めとする。
この仕口はほぞの鼻木口が側面に現れるけれども、丈夫である。
柱下は扇ほぞとする。扇ほぞは土台木口に近いほうを狭くするため、もし木口に割れが入っても 柱が外側に出てしまうのを防ぐ。

土台アリ掛

T字または十文字型に仕掛ける仕口。
ほぞ穴は土台の下端まで貫通させれば丈夫でかつ降雨があっても雨水がたまらない。
ほぞ穴は下端にて2分ほど細くする。アリは根元にて幅1寸、鼻に2分づつの増しをつける。

台輪留

左右両側面ともに外観になる土台隅の仕口。栓を打ち込んで固める。
材木継手4

継ぎ手の写真

写真は100年位前の梁の継ぎ手の写真です。燃料用にもらってきたもの。これもかなり複雑な形状をしていますね。
真ん中に入っているのは斧を入れた痕です。蒔き割をしていて、ふと、複雑な継ぎ手だと気づいたので手を止めて撮影しました。
昔の人の技術って素晴らしいと思います。
梁の継ぎ手写真

最終更新日: 2019-01-10 07:56:57

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Author: Tomoyuki Ito

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